手折られた青い百合 歓楽の都 / 駒崎 優 (角川ビーンズ文庫)
ロンドンの自治区レーンは “歓楽の都”。
そこの住人のショウは、美しくも誇り高い、トップクラスの 『宝石』 の少年だ。
同じ “金の城” で働くエマやヒュー、新しくレーンやってきた医師のレイ、新入り 『宝石』 のアリーナ。
彼らの前に、怪しい薬が持ち込まれる事件が相次ぎ、住人の中に死者が出るまでになる。
ショウ達レーンの住人は一丸となって薬物密売ルートを暴こうと動きだす。
レーンという自治区の仕組みがおもしろい。
国と国王に認められた巨大な売春宿で、住民は宝石と呼ばれる娼婦あるいは男娼、それに係わる仕事をしている人間、というものすごい場所だが、
個性ある人々が描かれている。
「この町に足を踏み入れた瞬間、身分や地位は一切不問とされ、男であろうと女であろうと、金さえ払えば世間のしがらみを捨て、自由に楽しみを見いだす事ができる」
、「町に入ろうとする物は、一切の武器を取り上げられる。たとえ相手が国王であったとしても、この規則が曲げられる事はない」、
「徹底された秘密厳守の規則を利用して、レーンではしばしば、商売や政治の裏取引も行われている」
その他いろいろの設定がおもしろい。
切ないくて、でも優しい雰囲気が好きだなぁ。
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